2020年代

2025年

部門 受賞(2026)
美術賞
  • 「フランケンシュタイン」
    フランケンシュタイン
    本作のメインセットであるヴィクター・フランケンシュタインの実験室は、垂直に伸びる「給水塔」の中に構築されている。セット内には、巨大な円形のらせん階段と、潜水艦のような円形の窓(ポルホールの窓)が配置されている。ギレルモ・デル・トロ監督作品に共通する「円」のモチーフを建築に取り入れることで、逃げ場のない「運命の循環」を表現した。上へ行くほどヴィクターの「神のごとき傲慢さ」が、下へ行くほど怪物が潜む「泥沼のような深淵」が視覚化されている。
    また、監督の強いこだわりにより、作品全体を通じてCGI(CG合成)を最小限に抑え、圧倒的なスケールの実物セットを建造したという。北極圏の氷のシーンを含め、多くの場面でスタジオ内に巨大な実物セットを組み、ライティング(ロウソクの光など)の効果を物理的に再現している。この手で触れることができる質感が、19世紀ゴシック・ホラー特有の湿り気、重厚感、恐怖を画面に定着させた。
    デル・トロ監督の長年のパートナーであり、「ナイトメア・アリー」でオスカー候補となったタマラ・デヴェレル(Tamara Deverell)が手掛けた。
部門 ノミネート(2026)
美術賞ノミネート
  • 「罪人たち」
    罪人たち
    「1930年代の南部という現実」と「超自然的な恐怖」をシームレスに融合させた没入感が評価された。現実の歴史の痛みとホラーが見事に重なり合っており、その社会的意義がアカデミー会員の心を動かした。
    物語の核となる酒場(ジューク・ジョイント)は、当時の建築技法を用いて、「四方すべての壁と屋根がある本物の建物」として、ルイジアナの湿地帯に建てられた。壁を外す必要がないため、カメラは建物の隅々まで、あるいは1階から2階へと一度もカットを割らずに(ワンレイクで)移動することが可能になった。これにより、立てこもりシーンの閉塞感と、外から何かが迫りくる恐怖が、観客に「リアルタイムの体験」として伝わった。
    また、建物を「古く見せる塗装」をするのではなく、実際に「風化させる」手法を取った。建物の外装に使われた金属板には、ホウ酸を用いた特殊な化学処理が施され、意図的に錆を発生させた。これにより、数十年放置された製材所(サマミル)を改造したという設定に、塗装では決して出せない「金属の腐食した質感」と「湿り気」が生まれた。このリアルな質感が映像を通じて「埃の匂い」や「湿った鉄の匂い」まで想起させ、観客の没入感を高めた。
    装飾面では、画面の隅々に「命」を吹き込まれた。テーブルの上の使い古された食器、壁に飾られた古い写真、呪術的な意味を持つ小物たち。これらが「生活の匂い」を感じさせるため、吸血鬼という異形が現れた際のコントラストがより強烈になる。
    ・ハンナ・ビークラー(プロダクション・デザイナー)
     ※「ブラックパンサー」で2019年に受賞
    ・ジェシー・ローゼンサル(Jesse Rosenthal)(アート・ディレクター)
     ※「ブラックパンサー」などに参加。このときはオスカー受賞対象者ではなかった。
    ・モニーク・シャンペイン(装飾担当/セットデコレーター)
     ※「ニッケル・ボーイズ」など。





  • 「マーティ・シュプリーム」
    マーティ・シュプリーム





  • 「ハムネット」
    ハムネット





  • 「ワン・バトル・アフター・アナザー」
    ワン・バトル・アフター・アナザー

 ※2026年の全部門はこちら→

2025年

部門 受賞(2025)
美術賞
  • 「ウィキッド ふたりの魔女」
    ウィキッド ふたりの魔女
    美術意匠:ネイサン・クロウリー
    舞台装飾:リー・サンデイルス
    ※米国民に親しまれてきたオズのファンタジーの世界を、壮大なスケールで創造した。 CG(コンピューター映像)になるべく頼らない「実物主義」を掲げた。 「小人の国(マンチキンの国)」の村を建造するため、英国のロケ地に900万本のチューリップを植えるところからスタート。
    「魔法大学(シズ大学)」づくりでは、ベネチア式螺旋(らせん)階段、玉ねぎ型ドーム、ゴシック式屋根、ムーア式建築、インドのピンク宮殿、ポルトガル式の青タイルなど、世界各地の優れた建築様式を組み合わせたファンタジックな校舎を建造。キャンパス周りに巨大タンクをつくって水を流し込んだ。
    魔法使いオズが住む「エメラルドの都」のセット構築では米国風にこだわり、1893年のシカゴ万博の建造物や駅舎からヒントを得て、幻想的かつ未来的な空間を創造した。
    美術デザイナーのネイサン・クロウリー氏は7回目のノミネート。これまで「ダンケルク」「テネット」「インターステラー」「ダークナイト」などクリストファー・ノーラン監督の作品を手掛け、オスカー候補入りを果たしてきた。1966年英国生まれ。

部門 ノミネート(2025)
美術賞ノミネート
  • 「ブルータリスト」
    ブルータリスト





  • 「デューン 砂の惑星 パート2」
    デューン 砂の惑星 2





  • 「教皇選挙」
    教皇選挙





  • 「吸血鬼ノスフェラトゥ」
    吸血鬼ノスフェラトゥ

 ※2025年の全部門はこちら→

受賞作品 ノミネート
2024 「哀れなるものたち」

哀れなるものたち

美術意匠:ジェームズ・プライス&ショナ・ヒース

舞台装飾:ジュジャ・ミハレク

<セット作りの説明▼>

<▼受賞スピーチ>
  • 「バービー」
    バービー
    美術意匠:サラ・グリーンウッド
    舞台装飾:ケイティ・スペンサー
    <バービー邸ツアー▼>



  • 「オッペンハイマー」
    オッペンハイマー
    <ロスアラモスのセット構築▼>



  • 「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」
    キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン



  • 「ナポレオン」
    ナポレオン

2024年の全部門→
2023 「西部戦線異状なし」

西部戦線異状なし
  • 「バビロン」
    バビロン
    美術監督:フロレンシア・マーティン&アンソニー・カーリーノ
    ※1920年代のハリウッドの撮影所やロサンゼルスのバブリーな街並み、豪邸を再現などした。サイレント映画の撮影現場のセットも構築した。マーティンは37歳の女性。「リコリス・ピザ」でも美術を担当した。カーリーノ(男性)は本作が長編デビュー作となった。
    【前哨戦での受賞】
    ・クリティック・チョイス賞
    ・英国アカデミー賞
    ・フロリダ批評家賞
    ・ハリウッド批評家賞
    動画集を開く▼ <バビロンのセットについて▼>


    <インタビュー▼>



  • 「エルヴィス」
    エルヴィス
    美術監督:キャサリン・マーティン(衣装も担当)、カレン・マーフィー
    ※キャサリン・マーティンはバズ・ラーマン監督の妻。過去に「ムーラン・ルージュ」「華麗なるギャツビー」で美術賞を受賞。
    【配信:アマゾン


  • 「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」
    アバター:ウェイ・オブ・ウォーター
    美術監督:ディラン・コール、ベン・プロクター
    ※2人とも「アバター1」から参加。
    ・ロサンゼルス批評家賞


  • 「フェイブルマンズ」
    フェイブルマンズ
    美術監督:リック・カーター
    ※過去に4度オスカーにノミネート。このうち「アバター」「リンカーン」で受賞した。1980年代からスピルバーグ監督作品の美術を担当。「グーニーズ」「ジュラシック・パーク」「宇宙戦争」など。
    ・ネバダ批評家賞

2023年の全部門→
2022 「DUNE/デューン 砂の惑星」

 DUNE/デューン 砂の惑星

作品紹介→

(美術監督:パトリス・ヴァーメット、装飾監督:Zsuzsanna Sipos)

 字幕版(Amazon)→

 吹替版(Amazon)→
  • 「ナイトメア・アリー」
     ナイトメア・アリー
    作品紹介→
    (美術監督:タマラ・デヴェレル、装飾監督:シェーン・ヴィア)

  • 「ウエスト・サイド・ストーリー」
     ウエスト・サイド・ストーリー
    (美術監督:アダム・ストックハウゼン、装飾監督:Rena DeAngelo)
    作品紹介→

  • 「パワー・オブ・ザ・ドッグ」
     パワー・オブ・ザ・ドッグ
    (美術監督:グラント・メイジャー、装飾監督:アンバー・リチャーズ)
    作品紹介→

  • 「マクベス」
     マクベス
    (美術監督:シュテファン・デシャント、装飾監督:Nancy Haigh)
2021 Mank(マンク)

(美術監督:ドナルド・グレアム・バート)

mank(Mank(マンク))
  • この茫漠(ぼうばく)たる荒野で
    (美術監督:デビッド・クランク)
  • マ・レイニーのブラックボトム
    (美術監督:マーク・リッカー)
  • テネット(Tenet)
    (美術監督:ネイサン・クロウリー)
  • ファーザー
    (美術監督:ピーター・フランシス)
2020 ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド

(バーバラ・リン)

 特別映像→

※1960年代のハリウッドの街を再現しました。

2010年代

2019年の受賞者・ノミネート

受賞作品 ノミネート
2019 ブラックパンサー

(ハンナ・ビーチュラー、ジェイ・ハート)

 予告編(Amazon)→

※アフリカの架空の国・ワカンダの独特のイメージを創り出した「ブラックパンサー」が受賞しました。 CGをふんだんに使用。架空の世界観を完璧につくりだした点が、評価されました。 事前の予想では、イギリス王室の宮廷を再現した「女王陛下のお気に入り」も、有力視されていました。
  • 女王陛下のお気に入り
    (フィオナ・クロンビー、アリス・フェルトン)
  • メリー・ポピンズ リターンズ
  • ファースト・マン
  • ROMA/ローマ

2010年~2018年の受賞者

受賞作品 受賞者
2018 シェイプ・オブ・ウォーター ポール・デナム・オースタベリー、Shane Vieau、eff Melvin
2017 ラ・ラ・ランド デヴィッド・ワスコ、サンディ・レイノルズ=ワスコ
2016 マッドマックス 怒りのデス・ロード コリン・ギブソン、リサ・トンプソン
2015 グランド・ブダペスト・ホテル アダム・ストックハウゼン
2014 華麗なるギャツビー キャサリン・マーティン
2013 リンカーン リック・カーター
2012 ヒューゴの不思議な発明 ダンテ・フェレッティ
2011 アリス・イン・ワンダーランド ロバート・ストロンバーグ
2010 アバター リック・カーター
ロバート・ストロンバーグ

2000年代の美術賞

受賞作・受賞者

受賞作品 美術監督
2009 ベンジャミン・バトン 数奇な人生 ドナルド・グラハム・バート
2008 スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師 ダンテ・フェレッティ
2007 パンズ・ラビリンス エウヘニオ・カバイェーロ
2006 SAYURI ジョン・マイヤー
2005 アビエイター ダンテ・フェレッティ
2004 ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還

主舞台となるゴンドール国は、七百フィートの城壁を持つ都市。ニュージーランドのウェリントン郊外の採石所に、実際の70分の1のミニチュアを数百人のスタッフが半年がかりで作り上げた。

ピーター・ジャクソン監督は「大小の岩石があちこちから露出しており、都市のセットを作るのに適していた」と語った。
グラント・メイジャー
2003 シカゴ ジョン・マイヤー
2002 ムーラン・ルージュ キャサリン・マーティン
2001 グリーン・デスティニー ティム・イップ
2000 スリーピー・ホロウ リック・ハインリクス

1990年代の美術賞

受賞作・受賞者

受賞作品 美術監督
1999 恋におちたシェイクスピア マーティン・チャイルズ
1998 タイタニック ピーター・ラモント
1997 イングリッシュ・ペイシェント スチュアート・クレイグ
1996 恋の闇 愛の光 ユージニオ・ザネッティ
1995 英国万歳! ケン・アダム
1994 シンドラーのリスト アラン・スタルスキ
1993 ハワーズ・エンド ルチアーナ・アリジ
1992 バグジー デニス・ガスナー
1991 ディック・トレイシー リチャード・シルバート
1990 バットマン アントン・ファースト

1980年代の美術賞

受賞作・受賞者

受賞作品 美術監督
1989 危険な関係 スチュアート・クレイグ
1988 ラストエンペラー フェルナンド・スカルフィオッティ
1987 眺めのいい部屋 ジャンニ・クァランタ
ブライアン・オークランド=ショウ
1986 愛と哀しみの果て スティーブン・グリムズ
1985 アマデウス パトリシア・フォン・ブランデンスタイン
1984 ファニーとアレクサンデル アンナ・アスプ
1983 ガンジー スチュアート・クレイグ
ロバート・W・レイング
1982 レイダース/失われたアーク《聖櫃》 ノーマン・レイノルズ
レスリー・ディリー
1981 テス ピエール・ギュフロワ
ジャック・スティーブンス
1980 オール・ザット・ジャズ フィリップ・ローゼンバーグ
トニー・ウォルトン

1970年代の美術賞

受賞作・受賞者

受賞作品 美術監督
1979 天国から来たチャンピオン ポール・シルバート
エドウィン・オノドヴァン
1978 スター・ウォーズ ジョナサン・バリー
ノーマン・レイノルズ
レスリー・ディリー
1977 大統領の陰謀 ジョージ・ジェンキンス
1976 バリー・リンドン ケン・アダム
ロイ・ウォーカー
1975 ゴッドファーザー PART II ディーン・タブラリス
アンジェロ・グラハム
1974 スティング ヘンリー・バムステッド
1973 キャバレー ロルフ・ツェートバウアー
ユルゲン・キャバッハ
1972 ニコライとアレクサンドラ ジョン・ボックス
アーネスト・アーチャー
ジャック・マックステッド
ギル・パロンド
1971 パットン大戦車軍団 ウーリー・マックリアリー
ギル・パロンド
1970 ハロー・ドーリー! ジョン・デ・キュア
ジャック・マーティン・スミス
ハーマン・ブルメンタル

1960年代の美術賞

受賞作・受賞者

受賞作品 美術監督
1969 オリバー! ジョン・ボックス
テレンス・マーシュ
1968 キャメロット ジョン・トラスコット
エドワード・キャリア
1967 <モノクロ作品>
バージニア・ウルフなんかこわくない
リチャード・シルバート
<カラー作品>
ミクロの決死圏
ジャック・マーティン・スミス
デール・ヘネシー
1966 <モノクロ作品>
愚か者の船
ロバート・クラットワージー
<カラー作品>
ドクトル・ジバゴ
ジョン・ボックス
テレンス・マーシュ
1965 <モノクロ作品>
その男ゾルバ
ヴァシーリス・フォトプロース
<カラー作品>
マイ・フェア・レディ
ジーン・アレン
セシル・ビートン
1964 <モノクロ作品>
アメリカ アメリカ
ジーン・キャラハン
<カラー作品>
クレオパトラ
ジョン・デ・キュア
ジャック・マーティン・スミス
ヒルヤード・ブラウン
ハーマン・ブルメンタル
エルベン・ウェブ
モーリス・ペリング
ボリス・ジュラガ
1963 <モノクロ作品>
アラバマ物語
アレクサンダー・ゴリツィン
ヘンリー・バムステッド
<カラー作品>
アラビアのロレンス
ジョン・ボックス
ジョン・ストール
1962 <モノクロ作品>
ハスラー
ハリー・ホーナー
<カラー作品>
ウエスト・サイド物語
ボリス・レヴン
1961 <モノクロ作品>
アパートの鍵貸します
アレクサンドル・トローネル
<カラー作品>
スパルタカス
アレクサンダー・ゴリツィン
エリック・オーボム(死後の受賞)
1960 <モノクロ作品>
アンネの日記
ライル・R・ウィラー
ジョージ・デイヴィス
<カラー作品>
ベン・ハー
ウィリアム・A・ホーニング(死後の受賞)
エドワード・カーファグノ

1950年代の美術賞

受賞作・受賞者

             
受賞作品 美術監督
1959 恋の手ほどき ウィリアム・A・ホーニング(死後の受賞)
E・プレストン・エイムズ
1958 サヨナラ テッド・ハワース
1957 <モノクロ作品>
傷だらけの栄光
セドリック・ギボンズ
マルコム・F・ブラウン
<カラー作品>
王様と私
ライル・R・ウィラー
ジョン・デ・キュア
1956 <モノクロ作品>
バラの刺青(英語版)
ハル・ペレイラ
タンビ・ラーセン
<カラー作品>
ピクニック
ウィリアム・フラナリー
1955 <モノクロ作品>
波止場
リチャード・デイ
<カラー作品>
海底二万哩
ジョン・ミーハン
1954 <モノクロ作品>
ジュリアス・シーザー
エドワード・カーファグノ
セドリック・ギボンズ
<カラー作品>
聖衣
ジョージ・デイヴィス
ライル・R・ウィーラー
1953 <モノクロ作品>
悪人と美女
エドワード・C・カルファーノ
セドリック・ギボンズ
<カラー作品>
赤い風車
マルセル・ヴェルテス
1952 <モノクロ作品>
欲望という名の電車
リチャード・デイ
<カラー作品>
巴里のアメリカ人
E・プレストン・エイムズ
セドリック・ギボンズ
1951 <モノクロ作品>
バージニア・ウルフなんかこわくない
リチャード・シルバート
<カラー作品>
ミクロの決死圏
ジャック・マーティン・スミス
デール・ヘネシー
1950 <モノクロ作品>
サンセット大通り
ハンス・ドライヤー
ジョン・ミーハン
<カラー作品>
サムソンとデリラ
ハンス・ドライヤー
ウォルター・テイラー

美術賞作品の評判

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